日本発売されたApple Vision Proの特徴やアプリ開発と最新事例・レビューまとめ

2024年2月2日、ついにアメリカでAppleのゴーグル型デバイスVision Proが発売され、そして、2024年6月のWWDCで日本発売が2024年6月28日になることが発表されました。

Vision Proは、現実とデジタルの世界を結びつける全く新しい「空間コンピュータ/空間コンピューティング」として多くの注目を集めています。

この記事では、AR/MR産業の本命とも言えるVision Proでできること、特徴、購入する時の注意点など1つ1つ解説していきたいと思います。

※この記事は2024年6月11日時点の情報をもとに書かれたものです。

目次

「空間コンピュータ(Spatial Computing)」と呼ばれる『Apple Vision Pro』とは

Vision Proは、Appleが開発者向けカンファレンスWWDC2023で発表したゴーグル型デバイスです。

PCやスマートフォンに代わる新たな「空間コンピュータ(Spatial Computing)」として位置づけられており、日常生活における多様なシーンでの活用が期待されています。

PCの代わりになるだけあり、搭載されているチップの性能やセンサーの数も段違いです。

また、Appleが発表の際にAR・MR・VR・XRといった言葉を使用していないことから、従来のVR/ARヘッドセットとは一線を画す存在であることが伺えます。

この革新的なゴーグル型ヘッドセットは、スタンドアロンで動作するため、外部機器との接続は不要です。

価格は3,499ドル(約50万円)となっており、2024年2月に米国で販売、他の60以上の国と地域でも年内に販売される予定です。

日本での発売が発表されましたが、販売価格は599,800円とのことです。

2024年1月のCES2024にて、XREAL社も新たな「空間コンピューティング」として「XREAL Air 2 Ultra」を発表しました。

「XREAL Air 2 」についてさらに知りたい方はこちら↓

※XREAL Air 2の記事:ARグラス【XREAL Air 2】特徴や上位モデル、周辺機器について解説!

Apple Vision Proでできること

Vision Proには、映像と音響を通じた圧倒的なエンターテインメント体験、高効率のデスクワーク、リアルなゲーム体験、そして3Dカメラによる新しい映像体験など、さまざまな機能が搭載されています。

このセクションでは、これらの機能について具体例を交えながら詳しく説明します。

1.3D映像や横幅30mの大画面での映像体験

Vision Proを使用することで、3D映像や横幅30m相当の大画面で映画を楽しむことができます。

例えば、ユーザーは自宅にいながら、映画館のような没入感を体験できるでしょう。

また、スポーツイベントを観戦する際には、まるでコート上にいるかのようなリアリティを実感できます。

この臨場感ある映像体験は、後述する空間オーディオ技術によってさらに高められています。

2.仮想マルチスクリーンでデスクワークが効率化

Vision Proでは、複数のアプリケーションを同時に開き、それぞれのスクリーンのサイズや場所を自由に配置できます。

例えば、ビジネスシーンでは、複数のドキュメントを同時に開きながら、効率的に作業を進めることが可能です。

これにより、従来の単一スクリーンでの作業と比較して、生産性が大幅に向上します。

3.超高解像度の映像による没入度の高いゲーム体験

Apple Vision Proでは、Apple Arcadeに含まれる100種類以上のiPad用ゲームを楽しむことができます。

Bluetoothコントローラーを用いて、従来のゲーム体験とは一線を画す没入感のあるプレイが可能です。

例えば、スポーツゲームをプレイする際、まるで選手が目の前に存在するかのように完全に没入する体験をすることができます。

4.目の前の出来事を3Dで記録できる「3Dカメラ」

Vision Proに搭載された3Dカメラを使用すると、ユーザーの目の前で起きるシーンをリアルタイムで録画できます。

たとえば、子供が初めて歩いた瞬間や、特別な家族のイベントを3Dで記録し、後でその場にいるかのように体験できます。

これは、記憶に残る瞬間をよりリアルに保存し、再体験することを可能にします。

以上の機能により、Apple Vision Proは、日常生活やビジネス、エンターテインメントに革命をもたらすことが期待されています。

まずは一度、Apple Vision Proについて相談する

従来のデバイスの追随を許さない、圧巻のApple Vision Proのスペック一覧

このセクションでは、重量とバッテリー持続時間、ディスプレイの特性、空間オーディオシステム、リアルタイムセンサー技術、そして処理チップの性能について詳しく説明します。

1.外付けバッテリーにより軽量化された本体重量とバッテリー残高

Apple Vision Proの重量は約450gで、外付けバッテリーによって軽量化が実現されています。

この重量は、長時間の使用でも比較的快適な装着感を提供します。しかし、一部のユーザーからは、長時間の使用による疲労感や持ち運びの不便さに関する声もあります。

また、バッテリーは最大2時間の持続時間を提供し、ユーザーが外出先でも安心して使用できるよう設計されています。

電源に接続すれば連続使用も可能で、家庭やオフィスでの長時間利用にも対応しています。

2.片眼4K以上の高解像度・軽い・鮮明なディスプレイ

Vision Proは高解像度のマイクロOLEDディスプレイを採用しており、片眼で4K以上の解像度を実現しています。

これにより、ユーザーは非常に鮮明でリアルな映像を体験できます。また、この高画素密度のディスプレイは、従来のOLEDよりも小型化されており、軽量化にも寄与しています。

優れたコントラストと応答速度は、VR体験における映像品質を大きく向上させ、よりリアルな映像体験を可能にします。

3.リアルなサウンド体験を可能にする空間オーディオシステム

Vision Proの空間オーディオシステムは、デュアルオーディオドライバーポッドを採用しており、部屋の構造や素材に応じて音響特性を分析し、最適なオーディオ体験を提供します。

これにより、映画鑑賞やゲームプレイ時にリアルなサウンド体験が可能となり、より高い没入感を実現します。

どのような環境でも、ユーザーは最高のオーディオ品質を体験できます。

4.ジェスチャー入力を支えるリアルタイムセンサー技術

Vision Proは、ユーザーの頭部や手の動きをリアルタイムでトラッキングすることができます。

これは、多数のセンサーやカメラ、そして後述するR1チップによって実現されており、コントローラーを必要としない直感的な操作が可能です。

この技術により、ユーザーは自然な動きでVR環境を操作でき、より没入感の高い体験が可能となります。

5.快適な体験を実現するM2チップとR1チップ

Vision Proは、M2チップとR1チップを搭載しており、これにより情報処理を高速かつ低温で静かに行います。

R1チップとは、新たに登場した半導体チップです。高度なセンサー処理能力を持っており、超低遅延のストリーミング処理を実現します。

具体的には、Vision Proに搭載された12台のカメラ、5つのセンサー、6つのマイクからの入力を処理して、デジタルコンテンツをリアルタイムで反映します。入力処理から反映までの時間は、目の瞬きの8倍の速さである12ミリ秒以内ということに驚きです。

M2チップは対発熱に優れており、VisionProの静音動作を実現します。MacBook Airにも採用されており、単体でも高いパフォーマンスを可能にします。

このデュアルチップ構成により、ユーザーはXR酔いを感じることなく、快適なVR体験を楽しむことができます。

Apple Vision Proのスペックまとめ

Vision Proのスペックをまとめた表がこちらになります。

価格3,499ドル(約50万円)
発売日2024年2月2日(米国)、2024年6月28日(日本、中国、日本、シンガポール)、2024年7月12日(オーストラリア、カナダ、フランス、ドイツ、英国)、その他の国では順次販売予定
重量450g
バッテリー1度の充電で最大2時間の持続時間
解像度4Kテレビ並み
視野角約90度
オーディオ周囲の空間に合わせて最適な立体音響を提供
カメラ3Dカメラによって目の前に存在するかのような写真・動画の撮影が可能
操作方法指、視線、音声による直感的な入力
センサー高性能センサーにより、正確で遅延のない体験が可能
処理性能M2とR1の2つの高性能チップにより、低音で静かに高速処理が可能

空間コンピューティングを実現するためのApple Vision Proの特徴

ここからは、Vision Proの7つの特徴について解説します。

1.空間コンピューティング専用の新たなVision OS

Vision Proに搭載されたVision OSは、空間コンピューティングを実現するために特別に設計されたオペレーティングシステムです。

このOSは、リアルタイムレンダリングエンジンを利用して、部屋の照明やオブジェクトの配置に応じたリアルタイムの影の調整を行います。

これにより、ユーザーは部屋のどこにいても、リアルな3Dオブジェクトとインタラクションでき、通常の2Dスクリーンでは不可能な没入感を体験できます。

また、このOSは、従来のデスクトップやモバイルデバイスでは実現できなかった新しいタイプのアプリケーションや体験を開発する土台となります。

現在Vision OSはバージョン1.2まで展開されており、バージョン2.0も2024年秋にはリリースされるようです。(2.0のβ版は2024年6月時点でインストールできる人もいるようです)

2.目線と手の動きをベースにした直感的な操作インターフェース

Vision Proは、目線、手の動き、音声操作を通じて、直感的かつ快適な操作を実現します。

目でアプリを見るとハイライト表示され、親指と人差し指を合わせることでクリック操作が可能です。

視界の下部にあるバーを目で見て、ジェスチャーでタップし、移動させることで、アプリのウィンドウを好きな場所に配置することもできます。

これにより、ユーザーはマウスやキーボードに頼ることなく、自然な動作でデバイスを操作できます。

3.空間内に自在に配置可能な仮想スクリーン

Vision Proでは、ユーザーは自分の周囲の空間に仮想スクリーンを自由に配置できます。これは特にビジネスやエンターテイメントにおいて革新的です。

例えば、映画を見る場合、大画面を設定し、まるで映画館にいるかのような体験が可能です。

仕事では、複数のスクリーンを配置し、複数のアプリケーションを同時に表示させることで、効率的なマルチタスキングを実現します。

4.VRとMRを行き来するための、没入度を調整するDigital Crown

Vision ProのDigital Crownは、バーチャル空間への没入度を調整するための革新的な機能です。

時計回りに回すと、VR体験が強化され、反時計回りに回すと、元の世界に戻ります。

これにより、ユーザーは、完全な没入感から部分的な現実感まで、自分のニーズや状況に応じて体験をカスタマイズできます。

5.周囲とのコミュニケーションを取りやすくするEyeSight機能

EyeSight機能は、ヘッドセットを装着しているユーザーと周囲のコミュニケーションを維持するための技術です。

これにより、外部から見たときに、装着者がどの程度周囲の状況を認識しているかが分かり、周囲の人々とのコミュニケーションが容易になります。

特に、没入度を高めた状態での使用時には、目元が隠れ、周囲の人々に対して、装着者が集中していることを伝えることができます。

また、近くに人が来た場合は、その人の「いるべき場所」がゆっくりと明るくなり、空間上にその人の姿が見えてきます。

これにより、従来のヘッドマウントディスプレイの課題である「外部から使用者の状況がわからず、周囲とコミュニケーションを取りづらい点」が解決される可能性があります。

6.虹彩認証Optic ICによるセキュリティ対策

Vision Proに搭載されたOptic ICは、虹彩認証を用いて、高度なセキュリティを提供します。これにより、ユーザーはデバイスをかけるだけで、自動的に安全な認証が完了します。

この技術は、個人のプライバシーを保護し、セキュリティリスクを最小限に抑えるために非常に重要です。

7.装着したままのビデオ通話を可能にするPersona機能

FaceTime通話時のPersona機能は、Apple Vision Proの中でも特に注目される機能の一つです。

この機能は、Vision Proを装着したままでFaceTime通話に参加する際、装着者の顔をキャプチャーし、機械学習を使って生成した「自分のリアルな姿」を通話相手に表示します。そして、Vision Pro内蔵の視線追尾機能を活用することで、通話中の目線や表情がリアルタイムで再現されます。

これは、リモートワークやオンライン会議など、ビジネスシーンでも大きな利点となります。

通話の時にVision Proを外さなくても、相手には自分の表情や視線が自然に伝わるため、よりスムーズで効果的なコミュニケーションが実現されるのです。

さらに、zoomのような他の会議通話アプリにもこのPersona機能は対応しており、多様な通話シーンでの利用が期待されています。

Apple Vision Proを活用した海外事例3選

日本ではまだ発売されていないApple Vision Proですが、海外では既に仕事や業務に導入している事例が増えています。

ここではApple Vision Proを活用した海外の事例をいくつかピックアップします。

日本で発売された際に海外の事例を参考に、独自の使い方を見つけられるきっかけになれば幸いです。

金融データの学習と空間バンキングの体験を実現

UXDA(User Experience Design Agency)というラトビアの会社が、金融業界における新しいバンキングの提示するためにApple Vision Proを活用しています。

元々金融サービスのUX(ユーザーエクスペリエンス)デザインに特化したデザイン会社なのですが、複雑な金融サービスを直感的で使いやすいものに変えることを目指し、Apple Vision Proを活用したそうです。

ユーザーはApple Vision Proで没入感のある環境で金融データを操作できるようになり、3次元的な学習ができることやAIの機能によって、従来の学習方法よりも効率的に金融への理解を促進します。

KLM Royal Dutch Airlines Engine Shop

ブランドのストーリーテリングとエンゲージメント向上

メキシコの高級テキーラブランド「Don Julio(ドン・フリオ)」は、Vision Proを使って没入型のブランド体験を実現しました。

ユーザーは、テキーラの製造工程を探検するためにメキシコへバーチャルに旅することができ、最新技術を取り入れている技術への感度の高さも相まって、ブランドのイメージをより良いものに印象付けることができます。

バーチャルショールームと製品トレーニングによるコスト削減

Zenith Interiorsはオーストラリアを拠点とする会社で、太平洋地域の大手家具インテリア会社です。この会社では、バーチャルショールームと製品トレーニングにVision Proを使用しています。

このアプローチにより、物理的なプロトタイプや出張の必要性が減り、時間とコストの大幅な効率化と同時に、顧客体験の向上が実現しました。

Apple Vision Proのアプリ開発や導入について

Apple Vision Pro向けの製品検討や開発相談は、既に多数のXR開発事例やXRソリューションを持つ企業への相談が望ましいでしょう。

株式会社Forgers|AR/MRの受託開発とWebAR/XRソリューションを複数展開

Forgersは、家具・小売業界や製造業界、通信業界など幅広い会社を対象にVR/ARアプリケーションやメタバース開発を支援している会社です。

自社ソリューションも複数提供しているほか、VR/ARアプリケーションの開発受託も行っており、取引先は株式会社NTTドコモや株式会社NTTコノキュー、株式会社ニトリ、株式会社イトーキ、芝浦機械株式会社など、通信・家具・小売・製造と幅広い業界の企業と取引しています。

参考リリース:(株)ForgersがNTT QONOQの遠隔医療支援システムに開発協力 – 高度な医療技術の伝承を支え、医師不足の解消に貢献

家具・小売・製造・住宅業向けに複数のWebAR/XRソリューション展開(SaaS)

Forgersは複数のソリューションを展開していますので、用途に合ったサービスを低コストで利用することも可能です。

  • 小売・家具業界向けオンラインストア・カタログ等への3D・AR/VR導入サービス「RITTAI
  • 家具・住宅業界向けのWebVR空間シミュレーター「RITTAI ROOM
  • 製造業界向け3D・デジタルマニュアルサービス「RITTAI MANUAL」(大手自動車部品メーカーや建材メーカー等が利用)

いずれも大手企業から中小企業まで導入実績多数ですので、安心して利用できます。

また、これらのサービスは現在Apple Vision Proへの対応を進めており、低コストで実運用されたシステムを利用することも可能です。

まずは無料で相談も承っていますので、少しでも興味がある方は、カジュアルに一度相談してみると良いでしょう。

まずは一度、Apple Vision Proについて相談する

実際の使い勝手はどうなのか?Apple Vision Proの評判・レビュー

現状の評判やレビューですが、Vision Proの製品レベルや価格の高さに驚く様子が見られます。

このように、Vision Proは解像度の高さだけでなく空間オーディオ技術まで好評なコメントが散見され、将来性の高さから盛り上がっているようです。

しかし、約50万円という価格設定や、バッテリー使用時の連続稼働時間が2時間という点から購入を見送る声も見られ、今後はいかに一般消費者に普及させるかが課題となるようです。

また、2024年2月の米国での発売にあたって、日本から注文しようとする試みも見られます。

Vision Proを購入する際の注意点

Vision Proを購入する際の注意点は2つあります。

1.オンライン購入の際はFace IDで顔サイズの計測が必要

Vision Proをオンラインで購入する際には、Face IDを使用した顔面スキャンが必要です。

この新しいプロセスは、購入者の顔のサイズをスキャンし、フェイスクッションとヘッドストラップのサイズを選定するために導入されています。つまり、オンラインでの注文にはiPhoneやiPadが必須となります。

この顔面スキャンによるサイズ選定は、ユーザーに最適なフィット感を提供し、長時間の使用でも快適さを保つことを目的としています。

一方で、Apple Storeでの直接購入の場合は、この顔スキャンのプロセスは必要ありません。Appleは、特に高価格帯に位置するVision Proを購入するユーザーに対して、使用中の不快感を最小限に抑えることを重視しているようです。

これは、価格に見合った快適な着用感を提供し、先行する競合製品でのユーザー体験の不満を回避する試みと考えられます。

2.近視の人はインサートレンズの追加発注が必要

Vision Proは、メガネをかけたままの装着ができません。そのため、近視の方は、追加オプションとして視力矯正用のインサートレンズが必要です。特に、ZEISS製のオプティカルインサートの使用が推奨されています。

これは、Vision Proのディスプレイパフォーマンスとアイトラッキングの精度を高めるために重要です。

ただし、このインサートレンズの価格は現時点では明らかになっておらず、推測によると、1組あたり300~600ドルになる可能性があると言われています。この点を考慮し、購入前に追加費用を見積もることが重要です。

また、他社製のアクセサリや互換インサートレンズについても、Apple Vision Proのアイトラッキングシステムの精度を損なわないような設計が必要となるため、その提供には課題が伴います。これらの情報を踏まえ、Vision Proの購入を検討する際には、予算と必要なアクセサリについて十分に検討することが推奨されます。

Vision Proを購入する際は、以上のことを把握しておきましょう。

まとめ

この記事では、2024年最も注目されている「空間コンピューティング」Vision Proについて解説しました。

約60万円という高価格に見合う価値はあるのか、ぜひ一度確かめてみましょう。

まずは一度、Apple Vision Proについて相談する

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