3Dマニュアル・手順書の作成と利用方法-技術継承や業務効率化ツール
昨今の3D技術の進化に伴い、マニュアルはデジタル化が進むだけでなく、3Dを活用したマニュアル・手順書を利用するケースが増えています。
今や製造業やインフラ業、土木・建設業でも3D活用は進んでおり、非常に手軽に3Dマニュアル・手順書を作成することが可能になっています。
本記事では、3Dマニュアルの作成方法とその利点、具体的な導入事例・サービスについて詳しく説明します。
- 1. 3Dマニュアルの概要やメリット
- 1.1. 従来の紙のマニュアルの課題と利点
- 1.2. 3Dマニュアルの概要
- 1.3. 3Dマニュアルの活用メリット:従業員の育成時間の短縮や外国人労働者の採用強化
- 1.4. 3Dマニュアルが活用可能になった背景:3D技術の一般化
- 2. 専門知識は不要で手軽に作成可能!3Dマニュアルの作成手順3ステップ
- 2.1. 1.3DCADや3Dスキャンツールから、3Dデータを作成する
- 2.1.1. ツール(1)AutodeskやFusion360などの3DCADの設計データ/3Dモデリングツールの利用
- 2.2. ツール(2)iPadに搭載されたスキャンアプリも活用可能
- 2.3. 2.マニュアル内に実装するデジタルコンテンツ(動画・画像・テキスト)用意
- 2.4. 3.3Dマニュアル化と作成例
- 2.5. 3Dマニュアルサービス「RITTAI MANUAL」
- 3. 3Dマニュアルの導入事例3選
- 3.1. 製造業での活用:製造現場の3Dスキャン・手順書化やCADデータによるマニュアル
- 3.2. 教育現場での利用
- 3.3. 医療分野での導入
- 4. 3Dマニュアルの今後:AR/VRへの展開・活用が鍵
3Dマニュアルの概要やメリット
従来の紙のマニュアルの課題と利点
製造・建設・インフラ業を中心に、多くの企業が取り入れているのがWordやExcelで作成し、印刷した紙のマニュアル・手順書です。
ネットワーク環境が整っていない場合も多い上記の業界において紙のマニュアルは「印刷して、どこにでも持ち込みやすい」というメリットは大きい一方で、
- 図面や画像、文章がメインで読みづらい
- ボリュームが多くなりがちで、印刷すると分厚くなり、読むのが大変
- 顧客や従業員に機能や使い方が伝わらない
という課題があります。その結果として
「作業に時間がかかる、生産性が上がらない」
「従業員の業務の業務の習熟に時間がかかる」
「外国人従業員は、そもそもマニュアルを読めない」
「(客先の工場でトラブルが発生した際)いつまでも自社の保守エンジニアのサポートが必要となり、顧客の内製が進まない」
といった問題点が発生します。
そういった課題の打ち手になるのが、3D・動画を活用したビジュアルベースで見やすいマニュアル・手順書の作成です。
3Dマニュアルの概要
3Dマニュアルとは、製品やサービスの情報を3次元で視覚的に伝えるためのマニュアルです。
3Dモデルやアニメーションを利用することで、従来の紙や画像、テキストマニュアルと比較し、
- 設備や機械の使い方、利用手順
- 複雑な製品やサービスの説明
- 組み立て手順・操作方法
- トラブル発生時の対応手順
などを、より直感的で分かりやすく伝えることができます。
ユーザーは、実物そっくりの3Dモデルを回転させたり、拡大縮小したりすることで、あらゆる角度から製品やサービスを理解することができます。
また、アニメーションを用いることで、動的な動作(部品の配置・シミュレーション)や変化を視覚的に表現することが可能になります。
3Dマニュアルの活用メリット:従業員の育成時間の短縮や外国人労働者の採用強化
3Dマニュアルを利用することで、視覚的に情報を伝えやすくなり、学習効率も向上します。
ビジュアルベースかつインタラクティブなマニュアルですので、設備や機械の使い方・機能を理解しやすくなります。
日本語版だけでなく多言語翻訳可能なサービスを利用すれば、外国の方にも見やすいマニュアルを迅速に作成することができるでしょう。
特に人手不足が深刻化する業界において、見やすく、使いやすいマニュアルを作成・利用することで
- 作業ミスが減少する
- 従業員育成の高速化、現場配属を早める
- 外国人労働者の採用強化が可能になる
- 顧客に配布することでダウンタイムの削減やサービスエンジニアの生産性が向上
といった様々なメリットが得られます。
3Dマニュアルが活用可能になった背景:3D技術の一般化
3Dマニュアルを容易に制作できるようになった背景には、製造・建設業を中心に3DCADによる設計が一般化しつつある点や、3Dスキャン技術の進化が挙げられます。
中でもスキャン技術においては、iPadでも手軽に空間が3Dでスキャンできるようになっており、工場の設備や工事現場を3Dでスキャンし、マニュアル・手順書として活用する例も出ています。
その後、3Dモデリング技術やアニメーション技術の進歩に伴い、3Dマニュアルはより洗練され、様々な分野で活用されるようになりました。
近年では、VRやAR技術との連携が進み、より没入感のある3Dマニュアルが開発されています。
専門知識は不要で手軽に作成可能!3Dマニュアルの作成手順3ステップ
それでは、3Dのマニュアル・手順書を作成するためのプロセスや必要なツール類を紹介します。たった3ステップでどなたでも簡単に作成可能です。
1.3DCADや3Dスキャンツールから、3Dデータを作成する
まずはマニュアルに必要な3Dのデータを作成します。ここでは2通りの方法を紹介します。
ツール(1)AutodeskやFusion360などの3DCADの設計データ/3Dモデリングツールの利用
3Dマニュアルを作成するためには、3Dモデリングソフトやアニメーション制作ツールが必要です。
また、場合によっては専用のハードウェアも求められることがあります。
- 設備の立体形状やRGB(カラー)→3DCAD(Fusion 360、Autodesk、3dsMaxなど)で制作したデータを流用可能
- 詳細のテクスチャ、仕上げ→3Dモデリングソフト(Blender、Mayaなど)で行う
といった作成方法が一般的ですが、手順書として作成する場合は3Dデータの品質にこだわる必要がないでしょう。その際は、1.の3DCAD(設計字に制作した3Dデータ)で作成することで十分に見やすいマニュアルを作成するのみであり、モデリングソフトで3D制作する手間・コストはかかりません。
ツール(2)iPadに搭載されたスキャンアプリも活用可能
iPadなどのタブレット端末で、無償で利用できる高精度な3Dスキャンアプリを活用し、実物の3Dスキャンを行うことも可能です。
例えば、以下の3Dスキャンアプリ「Scaniverse」を利用すれば、モデリングやフォトグラメトリの専門知識のない方でも、映像を撮影するような感覚で実際の空間・オブジェクトをスキャンし、3D化することも可能です。
こういった3Dツールで作成した3Dデータをダウンロードし、マニュアル作成に着手していきます。
- スマホやタブレットで使える3Dスキャンアプリまとめ:スマホやタブレットの3Dスキャンアプリを解説|iPad/iPhone/Androidや産業専用3Dスキャナーを幅広く紹介
2.マニュアル内に実装するデジタルコンテンツ(動画・画像・テキスト)用意
3Dデータとセットで見せる作業の具体的な指示コンテンツを、デジタルを作成していきます。
具体的には、以下の流れとなります。
- 作業手順を整理する
- 作業内容をデジタル化する:作業動画の撮影や、具体的な作業指示を言語化
3.3Dマニュアル化と作成例
最後に、3Dデータと動画や画像を組み合わせて、マニュアルを作成します。
3Dデータ内の各パーツと、動画・作業指示の動画などを紐づけることで、視覚的に伝わりやすい手順書を作成することができます。
3Dマニュアルサービス「RITTAI MANUAL」
本メディア運営元の(株)Forgersは、上記の3Dマニュアルを手軽に作成できるサービス「RITTAI MANUAL」を開発・提供しています。
3Dスキャンデータや3CADデータを活用したマニュアルを作れるだけでなく
- 多言語に自動で翻訳するAI翻訳機能
- オフライン利用機能
など、現場で運用する上で利便性を高める多くの機能を実装しています。
大手自動車部品メーカーや大手建材メーカーを中心に、大手企業から中小企業まで幅広い導入実績がありますので、工場のラインのスキャンや設備・機材のマニュアルを見やすく作りたいという企業のご担当者様は、ぜひ一度お気軽にお問い合わせください。
3Dマニュアルの導入事例3選
ここからは、業界ごとに具体的な活用事例を紹介していきます。
製造業での活用:製造現場の3Dスキャン・手順書化やCADデータによるマニュアル
製造業では、製造ラインの複雑な手順の可視化や、メンテナンス手順を3Dマニュアルで示すことで、作業者の理解を深める取り組みが進んでいます。
※イメージ:https://manual.rittai-service.com/viewer/index.html?id=manual_nknwaDt10DbXWn_RshkCC
大手自動車部品メーカーの某社は、上記のようなイメージで
- 工場の製造ラインをiPadを利用し、3Dでスキャン
- 作業動画等を埋め込み、手順を分かりやすく表現
といった形で活用したり、あるいは3DCADデータから出力した3Dのパーツのデータに製品説明を入れ込み、社内向けのマニュアル・プレゼンを行う形で活用しています。
従来のテキストマニュアルや図面では分かりにくかった部分を、視覚的に理解しやすくすることで、作業効率の向上やミス削減に貢献しており、遠隔地にいる作業者への教育やトレーニングにも有効であるため、今後一層活用が加速していくと考えられます。
製造業界におけるAR/VR活用事例はこちら:
教育現場での利用
学校や研修機関では、3Dマニュアルを利用して学生や受講者に実践的なスキルを習得させる試みが行われています。
3Dマニュアルは、解剖学や建築学など、複雑な構造や仕組みを学ぶ際に、視覚的な理解を深めるのに役立ちます。また、3Dマニュアルは、学生が自ら操作したり、組み立てたりすることで、より深い理解を得ることができ、学習意欲を高める効果も期待できます。
教育業界におけるAR/VR活用事例はこちら:【教育業界におけるAR/VR/メタバース】導入メリットや活用事例を紹介!
医療分野での導入
医療分野では、手術の手順や器具の操作方法を3Dマニュアルで視覚的に教えることで、医療従事者の教育効果を高めています。
若手の医師への分かりやすい教育コンテンツを3Dで作成し、複雑な手術手順を分かりやすく説明したり、患者への手術の内容やリスクの説明において、3Dモデルを使って分かりやすくすることが可能です。
医療業界におけるAR/VR活用事例はこちら:【医療分野におけるAR/MR/VR】導入メリットや活用事例を紹介!
3Dマニュアルの今後:AR/VRへの展開・活用が鍵
マニュアル・手順書への3D活用は、より多くの分野で今後広がっていくと予測されます。
特にVRやARとの連携が進むことで、ユーザー体験も大きく変わるでしょう。
例えば、VRのゴーグルを用いた3Dマニュアルを体験する際、ユーザーはより実際の製品・設備を動かしている感覚を得られるようになります。
また、ARを用いた3Dマニュアルでは、ユーザーは現実世界に3Dモデルを重ねて表示することで、製品やサービスをより直感的に理解することができます。
3Dマニュアルは、製品やサービスの理解を深め、ユーザー満足度を高めるための有効なツールです。今後、3Dマニュアルは、VRやAR技術との連携など、更なる進化を遂げ、様々な分野で活用されていくでしょう。
当社は大手自動車部品メーカーをはじめ、多くの企業の「マニュアルへのAR/VR活用をサポートしています。
少しでもご興味がある方は、ぜひお問い合わせください。
まずは一度、マニュアル・手順書へのAR/VR活用ついて相談する
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