製造業・建設業のスマートグラス×遠隔支援|最新事例とメーカー・価格一覧

目次

生産性改善や人手不足に – スマートグラスの機能や遠隔支援の利用例

スマートグラスの導入は、作業効率の向上、迅速な問題解決、トレーニングの効率化、情報共有の迅速化など、多岐にわたる課題を解決する手段として非常に有効です。

まずはスマートグラスの性能を紹介しつつ、どういった業務に活用できるのかを解説していきます。

スマートグラスの基本機能

まずは、スマートグラスの基本機能について解説していきます。

上記画像からも分かるように、スマートグラスには様々な機能が搭載されています。

1.ディスプレイ機能

スマートグラスは、ユーザーの視界に直接情報を表示するための小型ディスプレイを搭載しており、デジタルマニュアルや映像データなどを確認することができます。

HoloLens2などのスマートグラスでは、AR(拡張現実)技術を利用して、現実世界の上にデジタル情報を重ねることもできます。

2.カメラ機能

高解像度カメラが内蔵されており、写真やビデオの撮影が可能です。

これにより、リアルタイムでの映像共有や作業の記録が行えます。また、遠隔地の専門家が映像を通じて作業指示を出すこともできます​​。

3.音声コマンドとハンズフリー操作

音声認識技術を利用して、音声コマンドで操作が可能です。これにより、両手を使う作業中でも、必要な情報を呼び出したり、操作を行ったりすることができます。これがハンズフリー操作の実現に役立ちます。

4.センサーと位置情報


スマートグラスには、加速度センサー、ジャイロスコープ、GPSなどのセンサーが搭載されており、ユーザーの動きや位置情報を検知します。これにより、移動しながらでも適切な情報を提供することができます。

作業者は、スマートグラスを通して専門家の指示やアドバイスを受けながら、安全かつ効率的に作業を進めることができます。また、専門家は遠隔地から現場の様子をリアルタイムに把握することで、的確な指示やアドバイスを提供することができます。

①現場作業・業務や保守メンテナンスを熟練者がリアルタイムで遠隔支援

スマートグラスによる遠隔作業支援は、人材育成速度の向上や、熟練技術士の工場への移動時間の削減による生産性向上などを実現します。

工場現場で、機材や設備のトラブル発生時やメンテナンス時に、「熟練の技術者しか対応できないが、即時対応が難しい」ケースがあるでしょう。
その際、スマートグラスを使用することで、現場の作業員が遠隔地の専門家とリアルタイムでビデオ通話を行い、専門家から直接指示を受けることができます。

また、現場歴の浅い従業員でも、遠隔からのサポートがあれば早いタイミングで戦力化し、現場に出ることが可能になります。

製造業・工場におけるXR活用事例やポイントが気になる方はこちら:

②ハンズフリー操作による作業効率の向上


既存の紙の手順書や、スマートフォン・タブレット等で画像や動画のマニュアルでは、手が塞がる作業を行う場合は内容の確認が難しくなります。

一方スマートグラスは音声コマンドやジェスチャー操作をサポートしており、ハンズフリーで情報を確認しながら作業を続けることができます。
これにより、作業効率が向上し、安全性も確保されます。

誰でも見やすい手順書・マニュアルを表示し、若手のトレーニング速度を向上

作業指示書のあり方も、デジタル化する中で変化していきます。

従来の見辛い紙のマニュアルではなく、デジタルでインタラクティブなマニュアルや、作業対象の設備・機材に重畳させて表示する「ARマニュアル」で業務をサポートすることで、トレーニング速度の向上・スキルアップが期待できます。

③技術のデジタル化(技術伝承)


HoloLens2、Apple Vision Proなどの高度なセンサー付きスマートグラスでは、熟練の技術師の手の動きを3D化することも可能。

Vuzixなどの軽量のスマートグラスでは、手元の動きを映像として録画することで、技術・知見をデジタル化して継承することができます。

作業時のノウハウをデジタル化し、教育コンテンツとして活用することで、国内では至上命題とされる「製造・建設業を支えた団塊の世代の技術を若手に継承すること」を実現できるでしょう。

④作業記録の伝送・映像によるダブルチェックで効率化


スマートグラスはもちろんネットワークに繋げられますので、リアルタイムで作業ログを記録し、クラウドにアップロードすることができます。

作業証跡だけでなく、画像や動画データを保存して伝送することで、従来現場作業員複数名でダブルチェックしていたような業務も、記録された映像データでダブルチェックを実施。

作業員の生産性を向上するツールとなります。

スマートグラスの導入や遠隔作業支援・開発に関する相談先

当メディア運営元・株式会社ForgersはNTTドコモやニトリをはじめ、多数の大手企業のXR開発や導入を支援しています。

自動車部品のグローバルサプライヤー・アイシン社に、3D/デジタルマニュアルソリューション「RITTAI MANUAL」を提供するなど、製造業向けの支援も行っています。

少しでも気になる方は、無料で相談承っておりますのでぜひご相談ください。

2024年最新|製造業・建設業にオススメのスマートグラスメーカー・価格5選と導入事例

1.Vuzix社:M400 スマートグラスのスペック・導入事例

  • 製品の特徴:わずか70gと非常に軽量で、現場で利用しても苦にならない快適さが際たる特徴です。
    ディスプレイは小型ですが、画像・動画やテキストをしっかり視認できますので、現場でのマニュアル確認にも利用できます。
    音声認識機能を備えており、作業中のハンズフリー操作が可能で、防水性もあり耐久性が高く、過酷な環境でも使用できます。
  • 価格:約1,799ドル
  • 製品ページのURLVuzix M400

Vuzixのスマートグラスm400はデジタルマニュアルソリューション「RITTAI MANUAL」などに対応しています。
・参考:(株)Forgers、「Vuzix M400スマートグラス」向けデジタルマニュアルソリューションや、Apple Vision Pro向けコマースアプリ等をXR総合展に出展

Vuzix スマートグラス m400の導入事例

CooperVision社:

ニューヨークの倉庫で、ハンズフリーで作業を行うためにvuzixを使用しています。ピッキングのガイダンス(作業指示)をvuzixのディスプレイ上に投影し、音声コマンドでの操作。リアルタイムでの遠隔サポート等でも活用しています。

2.RealWear社:HMT-1のスペック・導入事例

  • 製品の特徴:防水・防塵仕様で、騒音が多い環境でも音声コマンドが使用可能。工業環境に特化した設計で、作業効率を向上させます。
  • 価格:約2,000ドル
  • 製品ページURLRealWear HMT-1

建設業 – 竹中工務店:Real WearとTeamsで遠隔臨場を推進

NSW社は、大手ゼネコン・竹中工務店と共に「RealWear」と「Microsoft Teams」を活用した現場作業のデジタル化を推進しています。

遠隔臨場を通じて、作業時間の短縮や移動時間の削減、多くの関係者が参加できることによる手戻り防止、立会の日程調整を臨場検査時間帯のみで行うなど、施工における生産性の向上を実現しました。

また、熟練者の若手技術者支援・建設現場の安全巡回点検などにも導入を拡大していくと発表しています。

HMT-1の導入事例 – 遠隔作業支援によるコストカット・効率化

  • Honeywell社:コロナ禍において、製造ラインの品質検査業務の遠隔対応を実現しました。RealWear及びMicrosoft Teamsを用いて、現場の作業員と遠隔の熟練技師を接続し、テストプロセスの効率化・移動時間の削減に成功しています。

3.Microsoft社:HoloLens 2のスペック・導入事例

  • 製品の特徴:566gと少々重量はありますが、スキャン機能を活かした高度なMR(Mixed Reality)体験が特徴です。
    現実空間をマッピングし、正確に3DCGデータを重畳させることができるため、MR・3Dによる作業指示に適しています。
  • 価格:約3,500ドル
  • 製品ページURLMicrosoft HoloLens 2

Microsoft HoloLens2の導入事例:トヨタ自動車

トヨタ自動車は、全国のGRガレージにMicrosoft HoloLens 2を導入し、整備士がリアルタイムで3Dデータを確認しながら作業を進める環境を整えました。

この技術により、作業効率が向上し、リモートでの技術支援が可能となり、遠隔地の専門家からのサポートも受けやすくなっています。これにより、整備士は複雑な作業を迅速かつ正確に行うことができるようになり、顧客満足度の向上に寄与しています。

4.Epson社:Moverio BT-300のスペック・導入事例

  • 製品の特徴・優位性:95gと非常に軽量で長時間の使用に適している一方、ディスプレイも120型相当の高精細・大画面。遠隔支援やマニュアル投影には十分なスペックといえます。
  • 価格:約699ドル
  • 製品ページのURLEpson Moverio BT-40

5.Lenovo社:ThinkReality A3のスペック・導入事例

  • 製品の特徴:Qualcomm Snapdragon XR1プラットフォームを搭載し、複数の仮想ディスプレイをサポート。3DCGデータの投影による製品・設備理解の促進などに適しています。
  • 価格: 約1,499ドル
  • 製品ページのURLLenovo ThinkReality A3

その他のスマートグラス・ARグラスについて

2024年、ついに国内でApple社が手掛けるスマートデバイス「Vision Pro」が発売され、大きな話題を呼びました。

最新のスマートグラスのスペックや価格はこちらにまとめましたので、ぜひご覧ください。

スマートグラスの導入選定ポイント・プロセス

①初期費用とランニングコスト

スマートグラスの導入には、初期費用がかかります。

初期費用には、スマートグラス本体の費用、クラウドシステムの利用料金、ソフトウェアのライセンス費用などが含まれます。ランニングコストには、通信費、保守費用などが含まれます。
※遠隔作業支援のツールとなるMicrosoftやTeamsは、既に契約中であれば追加コストは掛かりません

スマートグラスの導入コストは、機種や機能によって異なりますので、確認しておきましょう。

②現場で求められるスマートグラス/作業支援ソリューションか?

スマートグラスを導入する際には、以下のポイントを考慮する必要があります。

  • 現場のニーズ:現場の作業内容や環境に合ったスマートグラスを選びましょう
    • HoloLens2のような比較的大型でのデバイスでも受け入れられるか
    • 防水性能など現場で耐久要件を満たしいているか
  • 機能:音声制御、カメラ機能、データ共有機能など、必要な機能が搭載されているかを確認する必要しましょう
  • 価格:現場での導入台数から発生するデバイス・ソフトの利用料と、予算が合うか、確認しましょう

③提供されるサポート体制を確認する

多くのベンダーが、スマートグラスの導入を支援するサポート体制を提供しています。

サポート体制には、導入前のコンサルティング、導入後のトレーニング、運用サポートなどが含まれます。導入前に、ベンダーのサポート体制をしっかりと確認しておくことが重要です。

まとめ

スマートグラスを活用することで、遠隔作業支援が格段に効率化され、多くの業界で導入が進んでいます。現場での問題解決や技術継承において、スマートグラスは有効なツールとして活用されています。スマートグラスの導入を検討している企業は、自社のニーズに合ったスマートグラスを選び、導入後のサポート体制もしっかりと確認することで、遠隔作業支援の効果を最大限に引き出すことができます。

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