【2024年最新】観光業界のAR/VR/メタバース活用事例|活用のメリットや特徴を広く紹介
観光業界は、常に革新的な技術を取り入れ、旅行体験を進化させています。
特に、AR(拡張現実)、VR(仮想現実)、そしてメタバースは、観光の仕方を大きく変えつつあります。
この記事では、これらの技術が観光業界でどのように活用されているのかに焦点を当て、各技術の基礎知識から観光への応用例、導入の際のポイントまでを網羅的に解説します。
- 1. AR/VR/メタバースの基礎知識
- 1.1. AR(拡張現実)とは
- 1.2. VR(仮想現実)とは
- 1.3. メタバースとは
- 2. 観光業界の課題をAR/VR/メタバースで解決可能
- 2.1. 1.バーチャルガイドによって人材不足を解消できる
- 2.2. 2.VR/メタバースによる新たな観光体験で持続可能な観光を実現できる
- 3. ARナビゲーション
- 3.1. ARナビゲーションの特徴
- 3.1.1. 1.道案内や翻訳などの情報提供が向上する
- 3.2. ARナビゲーション 具体例
- 3.2.1. Palan 「PalanARガイド」
- 4. バーチャルツアー
- 4.1. バーチャルツアーの3つの特徴
- 4.1.1. 1. 移動困難な人も世界中の景色や文化を体験できる
- 4.1.2. 2. コストと時間を削減できる
- 4.1.3. 3. アクセスが困難な場所にも行ける
- 4.2. バーチャルツアー 具体例
- 4.2.1. ナーブ 「バーチャルツアー」
- 5. メタバース観光
- 5.1. メタバース観光の3つの特徴
- 5.1.1. 1. 物理的な制約を超えて、世界中や架空の場所を自由に探索できる
- 5.1.2. 2. 世界中の旅行者や現地の人々と新しい形で交流が楽しめる
- 5.1.3. 3. まるでその場にいるかのような深い没入感を体験できる
- 5.2. メタバース観光 具体例
- 5.2.1. ANA NEO 「ANA GranWhale」
- 6. 観光業界でAR/VR/メタバースを導入する際のポイント
- 6.1. 1. 技術的な制約を把握し、アクセシビリティに配慮する
- 6.2. 2. リアルとバーチャルの体験の差異を理解する
- 7. 今後の観光業界でのAR・VR・メタバース活用の展望/考察
- 7.1. 1. インタラクティブ性が高まって、参加型エンタメに変わっていく
- 7.2. 2. パーソナライズが進み、自分だけの旅行体験が可能になる
- 7.3. 3. 教育とエンターテイメントの融合
- 8. まとめ
- 9. AR/VR/メタバースの企画・開発のご相談、承ります。
AR/VR/メタバースの基礎知識
初めに、AR/VR/メタバースについて解説します。
技術 | 特徴 | 観光での活用シーン |
---|---|---|
AR (拡張現実) | 現実世界にデジタル情報を重ねる技術 | 歴史的建造物や観光地の解説、ナビゲーションなどに利用 |
VR (仮想現実) | 完全に仮想の環境に没入する技術 | 未訪問の観光地の事前体験やバーチャルツアーに利用 |
メタバース | 継続的な仮想世界で、リアルとデジタルが融合するプラットフォーム | 仮想観光地の探索やイベント、文化体験などに利用 |
AR(拡張現実)とは
AR技術は、現実世界にデジタル要素を重ね合わせ、情報を拡張する技術です。
観光業界では、ARを利用して観光客に対し歴史的建造物や自然景観に関する追加情報を提供することが可能です。
例えば、スマートフォンやARグラスを通して、歴史的な建物の前に立ちながら、その建物の歴史や背景に関する情報をリアルタイムで受け取ることができます。
※関連記事:ARとは?定義・技術の仕組み・VR/MRとの違い・ビジネス事例などを解説
VR(仮想現実)とは
VR技術は、ユーザーを完全に仮想の環境に没入させる技術です。
観光業界では、VRを活用して未訪問の観光地を事前に体験したり、バーチャルツアーを楽しんだりすることができます。
例えば、VRヘッドセットを装着することで、世界中の異なる観光地を訪れ、その場の雰囲気や美しさを感じることができます。
※関連記事:VRとは何か?仮想現実の仕組みと活用事例を徹底解説
メタバースとは
メタバースは、リアルとデジタルが融合した継続的な仮想世界のプラットフォームです。
観光業界では、メタバース内で独自の観光地を作成し、それを探索したり、文化イベントやフェスティバルなどに参加したりすることが可能です。
ユーザーはメタバース内でアバターを通して交流し、仮想世界での体験を通じてリアルな感覚を味わうことができます。
これにより、物理的な場所に依存しない新しい形の観光体験を提供することができます。
観光業界の課題をAR/VR/メタバースで解決可能
観光業界は様々な課題に直面していますが、AR/VR/メタバースの技術を駆使することでこれらの問題を解決へと導くことができます。以下、3つの具体的な解決策を提案します。
1.バーチャルガイドによって人材不足を解消できる
観光業界における人材不足は、長年にわたる深刻な課題の一つです。
特に、ガイドや接客スタッフなど、直接観光客と接する職種での不足が顕著です。
この人材不足は、季節や時間帯による需要の変動、賃金の低さ、過酷な労働条件などが原因となっています。
例えば、観光シーズンには多くのスタッフが必要となるものの、オフシーズンには仕事が減少し、安定した雇用が確保しにくいのが現状です。
また、多言語に対応できるスタッフの不足も大きな問題であり、特にインバウンド観光客の増加に伴い、その需要は高まっています。
ここで、AR・VRを利用した自動化されたガイドサービスとメタバース内での仮想ガイドの活用により、人的リソースに依存しない観光体験を提供できます。
例えば、メタバース内での仮想ツアーガイドが、世界中の観光地を案内することで、実際のガイドの不足を補い、多言語対応の情報提供が可能になります。
また、AR技術を活用したスマートフォンアプリを通じて、言語に依存しない多言語対応の情報提供が可能になり、国際的な観光客の需要にも応えられます。
これにより、人材が不足している状況でも、効率的かつ多様なニーズに対応する観光サービスが実現可能となります。
2.VR/メタバースによる新たな観光体験で持続可能な観光を実現できる
持続可能な観光ビジネスへの転換も大きな課題です。これは、環境への影響を最小限に抑えつつ、地域社会や経済にとっても利益をもたらすような観光のあり方を模索することを意味します。
例えば、過度の観光による自然環境の破壊や地域文化の侵食、地元住民の生活への影響などが問題視されています。
持続可能な観光は、単に環境保護に留まらず、地域経済の活性化、文化遺産の保護、地域住民の福祉の向上といった多角的な目標を追求します。
ここで、VR/メタバースは環境保護や文化遺産の保存に対して有効となります。
特にメタバースは、実際には訪問が困難または制限されている地域や文化遺産を仮想的に再現し、その価値を広く伝えるプラットフォームとして機能します。
例えば、絶滅危惧種が生息する保護区や、修復作業中の遺跡をメタバースで再現し、ユーザーにその場所の重要性を教育的に伝えることが可能です。画像のように、焼失してしまった首里城の再現も可能です。
これにより、物理的な訪問による環境への影響を避けつつ、観光客に対して持続可能な観光の重要性を伝えます。
さらに、メタバースを利用した地域固有の文化や歴史の紹介は、地域の魅力を世界中の人々に伝え、地域経済の持続可能な発展を促進します。
以降の記事では、AR・VR・メタバースを活用している主要な3つのサービスについての詳細を解説します。
- ARナビゲーション
- バーチャルツアー
- メタバース観光
ARナビゲーション
ARナビゲーションは、拡張現実(AR)技術を活用したナビゲーションシステムです。
現実の環境にデジタル情報を重ね合わせることで、ユーザーに直感的で分かりやすい道案内を提供します。
スマートフォンやAR対応のデバイスを通じて、現実世界に仮想の道標や方向指示を表示し、ユーザーが目的地までの経路を簡単に把握できるようにします。
ARナビゲーションは、歩行者向けの道案内や車両用のナビゲーションシステムにも応用されており、よりリッチなナビゲーション体験を提供しています。
ARナビゲーションの特徴
1.道案内や翻訳などの情報提供が向上する
ARナビゲーションは、観光客が未知の都市を訪れる際の手助けとなります。
スマートフォンを通じて、レストラン、バー、ショップ、交通機関、アクティビティ、ホテルなどの情報に簡単にアクセスでき、見慣れない地域でのナビゲーションを迅速かつ便利にし、パーソナライズされた体験を提供します。
また、Google Lensのようなツールは、看板やメニューなどの外国語テキストのリアルタイム翻訳を提供し、海外観光をする際に非常に役立ちます。
ARナビゲーション 具体例
Palan 「PalanARガイド」
このサービスは、株式会社palanにより開発され、観光客に次世代の体験を提供することを目指しています。
特に、歴史的建造物のAR復元や多言語でのガイド提供が可能で、観光地の魅力をより深く伝える手段として活用されています。
また、簡単に操作できるWebARシステムを採用しており、アプリのダウンロードが不要で、ブラウザから直接アクセスできる点も特徴です。
このような革新的なAR技術の活用は、観光業界において、訪問者に新たな発見と体験を提供し、地域の文化や歴史への理解を深める大きな可能性を秘めています。
WebARについて詳しく知りたい方はこちら↓
バーチャルツアー
VRを活用したバーチャルツアーは、仮想現実(VR)技術を用いて、ユーザーにリアルな旅行体験を仮想空間内で提供するサービスです。
VRヘッドセットを装着することで、ユーザーは360度のパノラマ映像や3D環境を通じて、世界各地の観光地や歴史的名所を探索できます。
リアルな映像と音響効果により、実際にその場にいるかのような没入感を味わうことが可能です。スマートフォンやタブレットで体験できるものもあります。
VRツアーは、旅行先の下調べや、物理的に訪れることが難しい場所の体験にも利用されています。
バーチャルツアーの3つの特徴
1. 移動困難な人も世界中の景色や文化を体験できる
VRは、高齢者や身体に障害のある方々にも自由な旅行体験を提供します。
実際に移動することなく、さまざまな環境に身を置くことが可能になり、実際の旅行が困難な人々にも世界中の景色や文化を体験できる機会を提供します。
2. コストと時間を削減できる
VR旅行は、従来の旅行に比べてコストと所要時間を大幅に削減します。
これにより、旅行業界は長い旅程を手軽で触れやすいエンターテインメントに変え、多くの人々に新しい形の旅行体験を提供できます。
また、VRツアーは、旅行提案を効果的にマーケティングし、様々な年齢層の顧客を惹きつける手段としても機能します。
3. アクセスが困難な場所にも行ける
VRを用いることで、絶景スポットや歴史的な場所など、実際にはアクセスが難しい場所への没入体験が可能になります。
例えば、アメリカ自然史博物館のVRプロジェクトでは、恐竜時代に旅し、ティラノサウルスの骨格を組み立て、恐竜を”生き返らせる”体験ができます。
このような体験は、現実では不可能な旅行を可能にし、観光客に独特の体験を提供します。
バーチャルツアー 具体例
ナーブ 「バーチャルツアー」
ビジネスVRの分野でリーディングカンパニーとして知られるナーブ株式会社は、新たにバーチャルツアー事業を立ち上げ、360度映像を活用して、天候や時差に左右されずに旅行体験を提供しています。
このサービスは双方向での画面操作が可能で、ユーザーはまるで現地にいるかのような体験を楽しめます。
また、大手旅行会社HISが実施するリアルタイムのツアーガイドにより、ユーザーは友人や家族と会話を楽しみながらバーチャル空間で旅行を満喫できます。
メタバース観光
メタバース観光は、デジタル化された仮想世界での旅行体験を提供する新しい形態です。
ユーザーは、デジタルアバターを通じてメタバース内の様々な場所を探索し、交流することができます。
この技術は、実際の地理的制約を超えて、世界中の文化的ランドマークや架空の場所を訪れることを可能にします。
ソーシャルインタラクションと組み合わせることで、メタバースは観光業界において革新的な顧客体験を生み出しています。
メタバース観光の3つの特徴
1. 物理的な制約を超えて、世界中や架空の場所を自由に探索できる
現実世界では、遠方への移動には時間とコストがかかり、また訪れることができない架空の場所や歴史的な場面を体験することは不可能です。
しかし、メタバース観光を利用することで、これらの物理的制約を超えた体験が可能になります。
例えば、家にいながらにして世界遺産を巡るツアーや、ファンタジーの世界で冒険を楽しむことができます。
メタバース内では、時間や空間の制限を受けずに、どんな場所でも訪れることができるのです。
2. 世界中の旅行者や現地の人々と新しい形で交流が楽しめる
メタバースでは、アバターを通じて世界中の人々と交流することができます。
これにより、従来の観光では体験できなかった、新しい形の交流が楽しめるようになります。
例えば、メタバース内で開催される文化祭やフェスティバルに参加することで、他の旅行者や現地住民のアバターと交流し、その文化を深く理解することが可能です。
また、言語の壁を越えたコミュニケーションツールの活用により、よりスムーズに意見交換が行えます。
このように、メタバース観光では、世界中の人々との出会いと交流を新たな形で楽しむことができます。
3. まるでその場にいるかのような深い没入感を体験できる
VR技術を用いることで、視覚や聴覚はもちろん、場合によっては触覚を通じても、まるでその場にいるかのようなリアルな体験が可能になります。
例えば、古代ローマを再現したメタバース内を歩く体験は、ただ情報を学ぶだけでなく、その時代の空気を感じることができるため、より深く内容を理解することができます。
このような没入感は、メタバースが提供する独特の体験価値であり、ユーザーにとって忘れがたい記憶となるでしょう。
メタバース観光 具体例
ANA NEO 「ANA GranWhale」
ANA NEO株式会社が提供する「ANA GranWhale」は、京都市と連携して制作されたバーチャル旅行プラットフォームアプリです。
このアプリでは、バーチャル旅行「V-TRIP」とバーチャルショッピング「Skyモール」が楽しめます。
V-TRIPでは、ANAが推奨する旅先をバーチャル空間で再現し、京都市内の二条城や祇園新橋、先斗町などの歴史的名所を探索できます。
一方、Skyモールでは、デジタルアイテムや日本各地の名産品を購入できます。
このアプリは無料で提供されており、iOSとAndroidの両方に対応しています。
観光業界でAR/VR/メタバースを導入する際のポイント
1. 技術的な制約を把握し、アクセシビリティに配慮する
AR/VR/メタバースの技術導入において、技術的な制約とアクセシビリティは大きな課題です。
これらの技術を活用するためには、高性能なハードウェアや専門的なソフトウェアが必要であり、特に小規模な観光事業者にとっては大きなコスト負担となり得ます。
例えば、リアルタイムのレンダリング能力を持つVRヘッドセットやメタバースプラットフォームの利用には高い投資が必要です。
加えて、技術に不慣れな利用者にとっては、複雑な操作性が障壁となる可能性があります。
このため、観光業界では、ユーザーフレンドリーなインターフェースの開発や、さまざまな技術レベルに対応した利用体験の提供が求められています。
2. リアルとバーチャルの体験の差異を理解する
リアルな観光体験とバーチャル体験との間の質的な差異も重要な課題です。
VRやメタバースによる観光体験は、実際の場所で感じることのできる感覚要素(空気感、温度、匂い等)を完全には再現できません。
例えば、VRを利用した歴史的な場所のツアーでは、実際にその場に立つときの感動を完全には伝えきれないかもしれません。
メタバース内での体験も同様に、リアルな体験との質的な差が問題となります。
観光業界では、XRおよびメタバースが提供する独自の価値を見出し、これらを実際の訪問体験の補完として位置付ける必要があります。
また、バーチャル体験の独自性を活かした新しい魅力の創出にも注力することが求められます。
今後の観光業界でのAR・VR・メタバース活用の展望/考察
AR・VR・メタバース活用によって、将来の観光業界はどのように変わるのでしょうか。ここからは、今後の展望/考察です。
1. インタラクティブ性が高まって、参加型エンタメに変わっていく
今後、AR・VR・メタバースの技術は、よりインタラクティブな観光体験を創出する方向に進展するでしょう。
観光客が仮想環境内で実際に「触れる」ことができるインタラクティブな展示やアトラクションが可能になると考えられます。
例えば、VRを使用した博物館では、観光客が展示物に「触れて」感触を感じることができ、歴史的な出来事を再現したインタラクティブなシミュレーションを体験できます。
また、メタバース内での特別イベントやフェスティバルでは、参加者がアバターを通じて互いに交流し、リアルタイムでコンテンツを共有できるようになるでしょう。
このような進展は、観光業界において、単なる観察から参加型のエンターテイメントへと体験の形態を変革します。
2. パーソナライズが進み、自分だけの旅行体験が可能になる
AIとの融合により、個々の観光客に合わせたカスタマイズされた旅行体験が実現します。
例えば、観光客の興味や過去の旅行履歴を分析し、個人に最適化された観光ルートやアクティビティを提案するVRツアーが展開されるでしょう。
メタバースでは、ユーザーの好みに合わせて環境が動的に変化する仮想世界が構築され、観光客は自分だけのユニークな旅行体験を楽しむことができます。
このようなパーソナライズされたアプローチは、特に個人の趣味や関心に合わせた小規模な観光地での利用が期待され、観光客一人ひとりに最適な体験を提供します。
3. 教育とエンターテイメントの融合
将来、AR・VR・メタバースは教育とエンターテイメントの境界を曖昧にし、観光体験を豊かにするでしょう。
仮想現実の中での教育的なツアーや体験は、歴史や文化、科学に関する深い知識を楽しく伝える手段となります。
例えば、VRを利用した古代都市の再現ツアーは、その時代の生活や文化を直感的に学ぶ機会を提供します。
メタバース内での教育プログラムやワークショップは、参加者が仮想世界で学びながら楽しむことができる革新的な学習の場となります。
このような教育的な要素を取り入れた観光は、訪問者にとって記憶に残る深い体験となり、観光業界に新たな価値をもたらします。
まとめ
この記事では、AR・VR・メタバースの基礎知識、観光業界での活用シーン、それぞれの特徴、導入する際のポイントについて解説しました。
この記事が、観光業界にAR・VR・メタバースを導入する際の参考になれば幸いです。
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