【製造業・工場のAR/MR活用事例7選】メリットや導入のポイントを解説

製造業界に革命をもたらすAR、MR、VR技術。これらは単なる流行ではなく、効率と品質の向上を実現する鍵となっています。
本記事では、これらの技術が製造現場でどのように活用され、どんなメリットをもたらすのかを解説します。
「ARやVRを製造業でどのように活用すればいいのかわからない」という悩みを持っている方はぜひ一読ください。


AR/MR/VR/XRの基礎知識
まずは、AR、MR、VR、XRの違いについて簡単にご紹介します。
以下が、それぞれの特徴をまとめた表になります。
| 技術 | 定義 | 現実との関係 | 製造業での主な用途 |
|---|---|---|---|
| AR(拡張現実) | 現実世界にデジタル情報を重ねる | 現実世界が基盤 | 作業指示、データ表示 |
| MR(複合現実) | 現実と仮想の境界を融合 | 現実と仮想の相互作用 | 設計、実物との比較 |
| VR(仮想現実) | 完全に仮想の環境を作り出す | 仮想世界への没入 | プロトタイピング、訓練 |
| XR | AR、MR、VRを包括する総合用語 | 現実と仮想の融合 | 高度な製造プロセス |
より詳しく知りたい方はこちらの関連記事もご覧ください。
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製造業界の課題とXR導入による解決策(人手不足・技術継承・生産性向上など)
ここからは、深刻化する製造業の人手不足や技術継承などの課題を、XRがどのように解決できるのかについて解説していきます。
VRゴーグルを活用した学習効果の高いトレーニング

製造業界でXRが必要とされる最大の理由は、工場の人手不足と熟練技術者の減少によるスキル継承の難しさです。
日本の製造業は長年にわたり熟練した技術者によって支えられてきましたが、次世代を担う若手人材の減少と熟練工の引退が重なり、貴重なスキルを伝えられていない現場が増えています。

ここでVRを用いることで、作業員は実際の作業環境を模した仮想空間内で、危険な作業や複雑な手順の練習を安全に行えます。
例えば自動車製造では、VRを用いて車両の組み立てや塗装プロセスの訓練が行われています。
組み立てラインや塗装ブースを仮想空間上で再現し、正確な組み付け方法や塗装技術を身につけられます。
実機や実際のラインを止める必要がなく、指導員(熟練工)の工数を削減しながら高い学習効果を得られるため、人手不足における早期戦力化に直結します。
このようにVRを用いることで、製造業界の従業員は、リスクの高い作業や複雑なプロセスを仮想空間で練習することにより、安全性と生産性の両方を高めることができます。
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ARグラスやスマートグラスを活用し、工場・現場に遠隔から作業支援

AR技術の導入により、製造現場では遠隔地からの指示や作業支援が容易になります。
作業員が機器の点検作業等で不明な点に直面した場合でも、スマートグラスを通じて遠隔地にいる熟練技術者とリアルタイムで視界を共有し、音声やAR映像で即座に指示を受けることが可能です。
熟練技術者が毎回現場へ訪問・出張する負担や移動時間を大幅に削ることができます。
また、最近では、スマートグラスのカメラ映像とAI解析を組み合わせ、作業者の手元をチェックしてパーツの組み間違いやボルトの締め忘れを自動で検知・注意喚起するような取り組みも進んでいます。
マニュアル・手順書などをARや3Dで表示し、業務を効率化

スマホやタブレットのLiDARセンサー等を用いた3Dスキャンの普及に伴い、数年前と比較しても作業手順書やマニュアルにおける3D/ARの活用は製造現場へ一段と広く浸透・定着してきています。
従来の紙や2D画像と比較し、3Dで設備・機材や作業対象を立体表示することで、作業者は以下の情報を一目で直感的に理解できます。
- 設備・機器内のどの部品に対して作業するのか
- どういう手順や角度で作業するのか
対応手順や故障時の対応内容を誰でもわかる形でマニュアル化でき、かつ属人化させずにデジタル化させ伝承することは、今後人手不足が加速する製造業界において必須と言えます。
※関連記事:3Dマニュアル・手順書の作成と利用方法-技術継承や業務効率化ツールをご紹介
※関連記事:スマホやタブレットの3Dスキャンアプリを解説|iPad/iPhone/Androidや産業専用3Dスキャナーを幅広く紹介
3Dでリアルタイムのデータ共有/視覚化し製品レビュー

従来の2D図面や紙指示書は、立体的なイメージ共有や問題点の特定に限界がありました。
3Dモデルやデータをリアルタイムに可視化することで、設計・現場間の認識のズレを解消できます。
例えば自動車設計では、車内に「入る」ような感覚で空間感やデザインを実寸大で確認・修正できます。
実物に近い形での事前評価により、開発の迅速化と試作手戻りの削減を達成できます。

さらに、ARを活用することで生産データや組み立て手順を現場でリアルタイムに確認することも可能になります。
作業員は視界上で組み立てラインの進捗状況や品質チェックポイントを視覚的に確認しながら作業できるため、ヒューマンミスの削減と工場全体の生産効率向上に寄与します。
製造業のXR活用・XRデバイス導入に関して
当社・株式会社Forgersは大手自動車部品メーカー・装置メーカーや医療業界、建材メーカー向けに幅広いXRコンテンツ開発・3Dマニュアルツール提供の実績があります。
製造業界でXRやスマートグラスを活用されたい方は、こちらからご相談ください。
製造業界におけるXRの7つの活用事例
ここからは、製造業界におけるXR技術の活用事例を7つご紹介します。
事例① 3D/ARマニュアルツール 「RITTAI MANUAL」(Forgers社)
スマートフォン・タブレットやARグラス・スマートグラスにも対応した3D/デジタルマニュアルツール

3Dデータや画像・動画を活用したデジタルマニュアルの作成は、製品の機能や使用手順を明確かつ効果的に伝える方法として注目されています。
株式会社Forgersが提供する「RITTAI MANUAL」は製造・半導体業界向けに展開しており、以下のような効果に繋がっています。
- 製品機能の直感的理解: 3Dモデルや動画を用いることで、製品や設備の機能や操作方法を直感的に理解できます。これにより、顧客は製品の特徴をより深く把握することができます。
- 営業人員のプレゼンテーション品質向上: 営業人員は、RITTAI MANUALを利用することで、製品の機能や使い方をより分かりやすく伝えることができ、プレゼンテーションの品質向上と顧客の理解や満足度が高まります。
- 故障時の迅速な対応: 製品の故障や問題発生時に、修理や対応手順を分かりやすく案内できるため、ユーザーは自身で迅速に対処することが可能となり、顧客サポートの効率化が図られます。
すでに大手自動車部品メーカーや建材メーカー等への提供事例があります。
RITTAI MANUALはスマートグラス/ARグラスにも対応

RITTAI MANUALは音声入力にも対応しており、vuzixをはじめ各種スマートグラス・ARグラスにも対応しています。
作業をしながら手順書やマニュアルをデジタルで表示し確認することができるため、業務の効率化や伝承を実現する手段として優れているでしょう。
- 製造・半導体業界向け電子マニュアルツール「RITTAI MANUAL」はこちら
また、製造・建設業で活用できるスマートグラスや事例はこちらにまとめています。よければご覧ください。
→製造業・建設業のスマートグラス×遠隔支援|最新事例とメーカー・価格一覧
事例②サントリーホールディングス株式会社:安全衛生 VR教育

(引用元:https://kokoro.mhlw.go.jp/case/company/cmp089/)
サントリーホールディングスでは工場内の検査や教育においてVRを積極的に活用しています。
VR を用いた危険体感プログラムで、過去の労災事例を従業員に疑似体験してもらうことで、言葉だけでは伝わりにくい危険性を知ってもらうことで、安全意識の定着を図っています。
また、ビール造りにおいて視覚や嗅覚を駆使する品質管理「官能検査」の工程をVR化し、熟練職人の判断基準や視点を可視化・共有することで、従来は伝承が困難とされていた感覚的な技能の効率的な継承を実現しています。
事例③ 富士通:VR ライン稼働シミュレーション
富士通では、VR技術を用いて生産ラインの仮想シミュレーションを実施しています。
VRを使って製造ラインのレイアウトや機器配置をシミュレーションし、効率的な生産ラインの設計を行っています。
これにより、実際の設置前に問題点を発見し、改善策を検討することが可能となり、生産効率の向上に繋がっています。
事例④ Siemens × NVIDIA:自社工場のデジタルツイン構築
シーメンスは、NVIDIA Omniverseとの統合による「Siemens Xcelerator」を活用し、自社工場のデジタルツイン構築を進めています。
工場をリアルタイムで3D空間に再現をすることで、生成AIによる設備配置や搬送ルートの最適化のためのシミュレーション、稼働前の仮想試運転(バーチャルコミッショニング)を可能にしています。
工場を止めずに最適設計が可能になったことで、製品立ち上げ期間の短縮や設置リスク・試作コストの削減、工場全体の稼働率向上を達成しました。
事例⑤ ペプシコ: ライン稼働VRシミュレーション
VRを用いた稼働シミュレーションは海外でも活発に行われています。
清涼飲料・食品大手のペプシコは、工場のデジタルツイン構築とXR活用を進めています。
工場を3D空間に再現することで、ラインの稼働シミュレーションを仮想空間で実行することが可能になり、立ち上げ期間の短縮やトラブル発生時の停止時間削減を達成しています。
また、AR遠隔メンテナンス支援やVR研修の導入も進んでいます。
事例⑥テナリス:ARメガネ・メンテナンス
テナリスは、製鉄業界においてAR技術を活用しています。
彼らは、工場内の機器メンテナンスと修理作業でARメガネを使用し、リモートから専門家のサポートを受けながら作業を行っています。
これにより、作業効率が大幅に向上し、時間とコストの削減が実現されました。また、作業の精度向上により、全体的な生産性の向上が見られています。
事例⑦エアバス:空間コンピューティング(MR/AR)
航空機製造で最大手のエアバス(Airbus)社は、航空機の複雑な組み立て工程において、空間コンピューティング(MR/AR)技術を全面的に活用しています。
作業員はデバイスを着用することで、重要情報をリアルタイムに確認が可能になり、複雑な工程におけるヒューマンエラーの劇的な削減と、生産リードタイムの短縮を達成しています。
その他、製造業・工場におけるVR活用事例はこちら→【2024年最新】製造業・工場のVR活用事例と導入プロセス・費用
XR技術を導入する際の課題点/検討すべき事項
ここからは、製造業界においてXR技術を導入する際の課題点/検討すべき事項を3つ解説します。
既存の設備や作業プロセスに適しているかどうか確認する
XR技術を製造業に導入する際、その技術が既存の設備やプロセスに適合するかどうかの評価が不可欠です。
これらの技術は、製品設計、作業指導、リモートアシスタンス、トレーニング等に応用できますが、全ての製造環境やプロセスがXRに適しているわけではありません。
例えば、高温や高湿度、強い振動がある環境では、XRデバイスの性能に影響を与える可能性があります。
また、XRソリューションは一般的に柔軟性がありますが、特定の製造プロセスやタスクに最適化するためにはカスタマイズが必要になることが多いです。
従業員教育とサポート体制を整備する

XRのような比較的新しい技術導入の際は、従業員がこれらを効果的に利用できるように十分な教育とサポートが必要です。
新しい技術に対する抵抗感や不安を解消するためには、従業員の意見を聞き、教育プログラムを通じて十分な理解と技能を提供することが重要です。
XR技術は特に直感的な操作が可能ですが、それでも従業員がその利用方法を完全に理解し、日常の作業に適用できるようになるまでには時間と練習が必要です。
このプロセスは、技術の受け入れを加速し、効率的な導入に寄与します。
費用対効果を慎重に評価する

XR導入には、高い初期投資が伴います。そのため、投資に対するリターン(ROI)を正確に評価することが非常に重要です。
これには、技術の購入費用、カスタマイズや統合のコスト、トレーニングと維持管理の費用が含まれます。
また、XR技術の導入が実際にどのような効果をもたらし、生産性や品質、労働環境の改善にどの程度寄与するかを評価する必要があります。
単に最新の技術を導入することが目的ではなく、その技術が長期的な価値を提供し、製造プロセスの効率化やコスト削減につながるかどうかを慎重に検討することが重要です。
この評価を行うことで、企業は資金の適切な配分を決定し、長期的なビジネス目標に沿ったXR技術の導入戦略を策定することができます。
製造業界におけるXR活用の現在地と今後の展望
これまで「将来的な展望」とされていたAIやデジタルツインとXRの活用は、2026年現在、製造現場の実務に定着しています。
AI×XRによるリアルタイム作業アシスト・ミス検知の標準化

スマートグラスのカメラ映像をAIがリアルタイム解析し、手順間違いやボルトの締め忘れをその場で検知・指示する「自動ポカヨケ」が一般化してきています。
熟練者の判断基準を学習したAIが視界上に最適な手順を表示することで、経験の浅い作業員でも活躍できる環境の整備が進められています。
デジタルツイン連動によるフロントローディングの進化

デジタルツイン技術との融合は、実際の製造環境を完全に仮想空間で再現し、リアルタイムでの監視や予測、シミュレーションを可能にします。
工場全体のリアルタイムデータと3Dモデルを空間上で同期させ、ライン構築や機器配置を事前に仮想空間内で完結させる動きが加速しています。
物理的な試作やライン停止に伴うコスト・リスクを最小限に抑えた製造が可能になることが予測されます。
デジタルツインについて詳しく知りたい方は
こちら→デジタルツインによる工場のスマート化・活用事例|製造業の未来と課題とは
地理的な制約を超えた共同作業が可能になる

海外拠点や遠隔地にいるエキスパートが、現地作業員と全く同じ視界や3D空間をリアルタイムに共有し、手元へ直接指示を出す運用が当たり前になってきました。
地理的制約を克服し、グローバル全社での品質均一化が進んでいます。
まとめ
AR、MR、VR技術は製造業界に革命をもたらし、設計から生産、トレーニングに至るまで多方面で貢献しています。効率化、コスト削減、リスク管理に優れ、導入する際の注意点を把握すれば、企業の競争力を大幅に高めることが可能です。
この記事が、製造業界のAR・MR・VR導入を検討する際の参考になれば幸いです。
また、当社・株式会社Forgersは大手自動車部品メーカーや医療業界、建材メーカー向けに幅広いXRコンテンツ開発・3Dマニュアルツール提供の実績があります。
製造業界でXRやスマートグラスを活用されたい方は、こちらからご相談ください。
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